眠っているときに生じる好ましくない異常行動を総称して、睡眠時随伴症parasomniaと呼びます。
小児期に多い睡眠時遊行症(夢遊病)、中高年に多いレム睡眠行動障害、悪夢、金縛り、歯ぎしり(ブラキシズム)、いびき、夜驚症など多くのタイプがあります。
便宜的に眠り自体に起きるタイプ(原発性)と眠っているときに体の臓器、器官に由来する症状が出るタイプ(二次性)があります。前者に属する睡眠時随伴症は眠りの状態によって、レム睡眠、ノンレム睡眠、その他に分類されます。
一方、後者は中枢神経系、消化器系などの器官系に分けられる。
本稿では、原発性パラソムニアについて紹介します。
さまざまな種類のパラソムニアがあり、現在も研究が進んでいます。
以下、代表的な病名と特徴について紹介します。
病気の種類 | 主な症状と特徴 |
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睡眠時遊行症 | ノンレム睡眠に生じる、一般的に夢遊病と呼ばれている。小児に多い睡眠障害で、思春期に自然消失することが多い。夜驚症を合併することあり。癲癇との鑑別を要する。 |
夜驚症 | 恐怖体験のように、大声で泣いたり、叫んだりする。夢遊病と同じく、ノンレム睡眠のとき生じる。年齢が上がるつれて自然に治ることが多い。 |
レム睡眠行動障害 | 中高年に多い。レム睡眠のときに起きる病気。夢の内容に反応して蹴る、殴るなどの暴力行為が問題となる。パーキンソン病、認知症との関連。抗れんかん薬が有効。 |
睡眠関連摂食障害 | 夜間睡眠中に意識障害を伴って、過剰な摂食行動がある。夢遊病との関連があり、若年者に多い。過食に伴う消化器症状、浅い眠り、昼間の眠気。 |
悪夢障害 | 怖い夢を見て目覚めることを繰り返す。レム睡眠中に出現する。ストレスの関与。子どもに多い。成長とともに回数が減ることが多い。 |
歯ぎしり | レム睡眠中に覚醒すると、体が動かせない状況となる。睡眠時間の不足、アルコール摂取が引き金になることがある。睡眠麻痺と呼ばれ、ナルコレプシーの症状の一つ。 |
寝言 | 眠っているときに発声する現象。夜驚症、レム睡眠行動異常でも寝言がみられる。通常の寝言は睡眠衛生の徹底が管理の主体となり、経過観察になることが多い。 |
うなり声 | カタスレニア。睡眠呼吸障害の一種と考えられるようになった。原因不明。ストレスの関与も一説にあり。睡眠呼吸障害の合併時はCPAP治療やマウスピースが対策に。 |
いびき | 夜間のいびき呼吸が問題となる。血液中の酸素レベル低下、覚醒は殆ど問題とならない。マウスピース作成で対処。最新の診断基準では睡眠呼吸障害に分類される。 |
パラソムニアの症状を治療するときには、まずは、睡眠衛生の徹底が重要になります。具体的には十分な睡眠時間の確保と規則正しい生活、カフェイン摂取、喫煙、アルコールを避ける。薬剤による影響がある場合は、その調整を行います。睡眠時無呼吸症候群が合併しているときは、その治療を優先します。その他、薬剤で症状をコントロールします。